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ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ ツアーファイナル(2012.9.30昼) [ミュージカル]

hedwig_2012_DSC_0816.jpg
大分時間が経ってしまいましたが、9/30(日)13時の「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ ツアーファイナル」の感想です。

作:ジョン・キャメロン・ミッチェル 作詞・作曲:スティーヴン・トラスク 上演台本・演出:大根仁 音楽監督:岩崎太整 訳詞:スガシカオ Cast:森山未來(ヘドウィグ)・後藤まりこ(イツァーク) Band:岩崎太整(key)//フルタナオキ(b)/MAKO-T(pf)/阿部徹 a.k.a. SANTA(ds)/木島"MAX"靖夫(gt)

今回のヘドウィグの公演が始まる前から、作者のジョン・キャメロン・ミッチェルが「日本に行って未來と歌いたいです」と語る動画のことが気になっていた私。公式ツイートでもそのコメントについて注目するよううながす内容もあり、「もしかしてジョンが来るのでは?」と期待でいっぱいでした。

果たして、私の願いは叶うのでしょうか?


ヘドウィグのツアーファイナルといって思い出すのが、山本耕史さんが再演した時に行われたもので、その時は出演者がヘドウィグの曲の他自分の好きな歌を歌うような趣向で、ゲストとして作者のジョン・キャメロン・ミッチェルが登場して山本さんもびっくりするほど疲れ知らずに動き回るパフォーマンスを見せてくれました。そのことからジョンは呼べば来てくれる人で、ましてや本人が来たいと言っているのだから、来日の可能性は高いと思ったのでした。それはさておき、森山ヘドウィグの話に戻ります。

■会場
渋谷の時は会場自体もコンパクトだし、席の前後の間隔もキチキチだったけど、こちらは広いし、席の前後も広くてよかったです。私の席の前が一列通路になっていて、しかも縦の通路にも近いかったので、公演中やアンコールで森山さんや後藤さんが近くに来たりとかもありました。

大人数だったせいか、開演の15分前に着いた時にはドリンクチケットを引き換える人がロビーにあふれていて、とても並ぶ気になれない状態に。帰りでも受け取れますというけど、そこまでしてドリンクを買わないといけないのかなーと思ってしまいました。それは他のライブハウスも同じ。ライブハウスっていうのはそういうものなんでしょうけれど。
ZEP_drink_DSC_0839.jpg

■パワーアップ
今回のツアーファイナルは、ヘドウィグを通常の公演と同様に上演するというものでした。それも東京から大阪、愛知、福岡公演を経て再び東京(Zepp DiverCity)ということで、森山さんをはじめ全体的にパワーアップしたなーと思いました。最後の方では階段のてっぺんから飛び降りちゃうし。それも後藤まりこさんまで一緒に飛び降りてましたからびっくりでした。

■お台場
会場がお台場ということで、最初の方のトークも地域性に合わせたものに。埋め立て地なので「お台場はゴミでできてるのよね」とか、ペリー来航の時、対抗するために大砲をおいた台座があったからお台場だという話を、「いわばアメリカにレイプされそうになって、こちらも大砲をかまえて、つまりチ○コとチ○コの戦い」みたいな話になったりして、「セーエキまみれの街」というくだりにつなげていました。結構長く語っていましたね。

■イツァーク
観に行く前に、ツイートを検索していたら、ツアーファイナルを観て、イツァークのことが納得できたという方がいて、その部分に期待しながら観ていました。でも、私が観に行ったのが開幕から10日ほど経ったあとだったせいか、ツアーファイナルと内容的な違いは感じませんでした。

それでも、前回うろ覚えだったことを確認できました。繰り返されるセリフが「心の中の闇、心の中の森、ねえ、秘密を教えてあげるから」だったこととか。(これは配布された歌詞カードにも書いてあった。Random number generationに。)その意味は相変わらずわからなかったけれど。

後半でヘドウィグがイツァークに「中途半端なもの同士でいいコンビよね」みたいなことを言ったら、イツァークは「たとえ人工的に作られた身体でも、この身体で生きていくしかないんだ!」みたいなことを言って、ヘドウィグを突き飛ばして駆け出す場面があり、ここでイツァークは自分を受け入れたんだなと納得できました。東京公演の時も同じだったのですが、イツァークのセリフの「人工的に作られた身体」というのがはじめピンとこなくて、「イツァークって人工的に作られたの?」と混乱してしまったのですが、よく考えてみれば「人工的」というのはヘドウィグのことですよね。そこまではいいのですが、最後になぜイツァークが白いドレスになるのはなぜかはまだよくわかりません。

■トミー(?)とイツァーク
以前観た山本版ヘドウィグでは、ヘドウィグがカツラなどを脱ぎ捨てて、額に十字架を書いて、トミーと一体化する感じでした。一方、森山ヘドウィグはヘドウィグが混乱しながら退場し、あらためてトミーが登場(トミーとしてヘドウィグに詫びるのでトミーとわかる)する流れになっています。

ヘドウィグ退場からトミー登場までの間、イツァークがしゃがんでロウソクに火をつけてるみたいな感じでRandom Number Generationのさびの部分をアカペラで歌うのですが、これって何なんでしょうね?ヘドウィグが死んじゃったの?お線香あげてる?(そんなわけないか。笑)

で、トミーが登場するんですが、ヘドウィグに呼びかけたあと中央階段で立ち尽くすトミーのところへイツァークが階段を上ってきて動くよううながすみたいなことをするんですよね。イツァークはトミーとは接点がないはず。ではなぜ?これはヘドウィグなのか?だとしたら、なぜトミーとしてヘドウィグに謝る?その前のお線香(?)の意味は?・・・と果てしなく疑問が。

私の理解力が低すぎるのかしら?ホントごめんなさい。この辺りの流れを解釈できた方は是非教えてください。そんなわけで、私の場合はイツァークの位置づけは理解できずに終わりました(涙)

■♪ハデにメイクアップ〜
「Wig in a Box」で、観客と一緒に歌うというコーナーで、森山さんがステージを降りて、主に男性にマイクを向けて歌ってもらうというのをやっていました。上手い人もいるし、そうでもない人もいるんだけど、そうでもない人には「すごい好き!」とかいって盛り上げてましたね。

■アンコール&カーテンコール
本編が終わり、いつものようにアンコール曲は「My Way」。「My Way」といえば昔はちょっと気取ったおじさまたちのカラオケの定番曲ということでイメージダウンしてましたが本当はとてもいい曲なんですよね。しかもここでこの曲は意味深いですよね。トミーorヘドウィグが(でもヘドウィグじゃないとおかしい気がするけど)自分を受け入れるという意味だと思うので。それはわかるんだけど、あまりにスタンダードナンバー過ぎて、ヘドウィグの音楽の異端な雰囲気とは異質な感じもしますけどね。

その時点だったと思うのですが、森山さんが「今日はスペシャルゲストが来てくれてます」みたいなことを言ったので、「ええっーーーーー?まさかここでジョンが?」と思ったら、東京公演だけに参加していたギタリストのJUONさんでした。あー、やっぱりこの流れでジョンはないよね。

で、JUONさんも交えてもう一曲ということになり、「Tear Me Down」を歌ってくれました。ヘドウィグを代表する曲と言えばThe Origin of Loveだと思うのですが、そういうソフトな曲でなくあえてこういう曲を選んだことに拍手!正直私はThe Origin of Loveよりも、こういう迫力のある曲の方が好きだから。結構長く演奏して、その間に客席を乗り越えて後ろの方まで行ったり、二階席間で行って、しかも客席の最前列前の柵の外側の、網状のキャットウォークのところを端から端までふつうに歩いちゃって、「酔っぱらいジジイかよ、超キケン!」と思いました(笑)。もちろん大丈夫でしたけど。

たぶんこの時だと思うのですが(「My Way 」の時じゃなかったと思うけど。)最後の方で上から金や銀のテープが降ってきました。それがコレ↓。
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私の前の列くらいまでは真上から降ってきていたので直接キャッチした人も多かったのですが、私も床に落ちたのをひとつゲット(笑)。みんなそれを振っていました。

カーテンコールがつづく中、拍手が鳴り止まず、「こういう時はどうしたらいいのかしら?」と言いながら退場する森山さん。そして急遽「Angry Inch」を歌うことに。またもやパワフルな曲で、森山さんの体力はすごいなーと感心しました。もちろんみんなさっきのテープを振りながら大盛り上がりでした。

そしていよいよ終わりという時に、「みんなに紹介したい人がいます」みたいなことをいうので、「ええっーーーーー?今度こそ?」と思ったら、出てきたのは訳詞をされたスガシカオさんでした。スガさんは「本当に感動して涙が出そうになっちゃったよ〜」とさわやかにコメント。それを「あー、はいはい。」的に流す森山さん(笑)。最後に森山さんと後藤さんが挨拶。後藤さんも相当テンション高くて、終わってしまうのが残念そうでした。

■その他、これまでに書き忘れたこと
・「Angry Inch」の字幕
東京公演の時は私が気づかなかったのかも知れないですが、「Angry Inch」のサビのところに字幕がついていました。性転換手術で6インチだったのが5インチ切り取られて1インチ残ってしまったというのがこの作品の一番大事なところですが、歌だけだとサビの部分は聞き取りづらいので、字幕をつけたのはよかったと思います。ちなみに1インチとは約2.5cm。ということは6インチというと・・・。興味のある方は計算してみてください(笑)。

・トミーとヘドウィグがじゃれあうシーン
面白かったのは、トミーとヘドウィグがじゃれあうシーン。奥のスクリーンの等身大のトミー(森山さん)の映像と向かい合うようにヘドウィグが立つ。そしてトミーは優しくヘドウィグに語りかけつつ股間を触る。うっとりするヘドウィグ。「あれ?なにこれ。もう一回触っていい?」(と映像の声)と言って2〜3回確かめる。映像と実物の森山さんの掛け合いがみごとでした。ここまでわかりやすくする必要があるのかはわかりませんが、森山版はトミーがたくさん出てくるのも特徴ですね。

・「Midnight Radio」の歌詞
最初から「Midnight Radio」の歌詞がどうも気になっていました。2パラグラフ目の後半「流れる血のように/その全身で 己を知れ」となっている部分です。原文は「Like your blood knows the way / From your hart to your brain / Know that you're whole」です。

以前、山本版の時にニューヨーク在住のジャーナリストの北丸雄二さんが歌詞の和訳をされ(実際に歌う歌詞ではなく、歌詞の和訳として)、一部の曲の訳は公演時に配布されました。配布されたものにはこの歌の訳は載っていませんでしたが、すべての曲の訳は一時ネット上で公開されていました。それによるとこの部分は「流れる道を知る血のように/心から頭まで/自分は一つだと知って」となっていて、Know that you're wholeってそういう意味なんだーと感激した覚えがあったのです。

今回のスガシカオさんの訳では「己を知れ」とKnowが命令形であることがよりわかりやすくなっていますが、北丸さんの「〜と知って」ももちろん「知りなさい」という意味だと思います。そこはいいんですが、you're wholeであると知ってということだとすると、ヘドウィグは実際には身体の一部を取り除いた状態なわけですが、それでもあなたは完全(ひとつ)なんだという意味だと思って、北丸さんの訳ですごく納得できていたので、「己を知れ」だとどうかなーと引っかかってしまったんです。でも歌の歌詞としてメロディに乗せやすいとか色々考えての訳詞だと思うので、まあこれもありなのかもしれませんけどね。

そんな感じでした。

■おまけ
ヘドウィグの舞台写真が載っているサイトを見つけたのでご参考までに。ヘドウィグのマント(?)は途中から絵柄が変わりましたね。私が観た時は、変わったあとの和風の柄でした。
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201208290005


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