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「RENT」(東宝版2012)11/10(土)マチネ観てきました [RENT(東宝)2012]

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10/30から始まっていた「RENT」ですが、11/10にようやく観てきました。ミュージカル自体を観るようになってまだ数年。先輩方から初日や楽日の大切さを学び、必死でチケットをとったこともあったけど、最近は少し落ち着いてから観始めるのもいいかなと思ったりして。

この時のダブルキャストは以下の通り。
ロジャー:ジュリアン
ミミ:石田ニコル
エンジェル:田中ロウマ
コリンズ:TAKE
モーリーン:ソニン

ツイートで、「オリジナルと比べるのはやめて、21世紀のRENTとしてどうかという視点で観たい」と宣言して出掛けた私。全体の感想としては、すごくいいなと思ったし、キャストの迫力に圧倒される感じだったし、今風だなと感じました。それと、あらためてオフ版(マイケル・グライフ新演出版)の意図が分かった感じ。そういう意図でこのキャストを選んでるんだな、みたいな。

もう何日も経ってるんで、以降はネタバレありです。
6列のほぼセンターといういい席。ここなら、セットの影になる部分があまりなくて、キャストがとても近く感じでよかったですね。

私はオフ・ブロードウェイ再演版(マイケル・グライフ新演出)の、正確にはプレビュー公演を去年の7月に観ました。プレビューの初日から3日にわたってみたのですが、まだ危なっかしいところもあったので、完成形を観てないともいえます。そういう意味で、今回の東宝版で完成形はこうだったのかーと思えました。

新演出版のキャスティングはなんか普通にいそうな人たちって感じ。

マーク(賀来賢人) 明るいというか、あっけらかんとしているというか、今風だなーっていう感じの人。顔だけだんだんキムタクに見えてきた(笑)。こんな明るいマークでいいのかなと思っていたら、二幕のHalloweenから急に暗くなった。オフ版も(主にロジャーだけど)普通ならもっと感情を出すようなところも押さえていたり、でも激しいところもあり、メリハリをつけるような演出なのかなと思ったのですが、今回のマークはスイッチが切り替わるような変貌ぶりだった。Halloweenが暗いのは当然だけど、その前のバレンタイン・デーのセリフ(Take Me or Leave Meに入るところのマークのコメント)は、自分はどこにもいない、みたいな内容なのに、結構さらっと言ってた気がする。

ロジャー(ジュリアン) 超カッコイイ(笑)。稽古場映像の時は、若干歌とか心配なところがあったけど、歌も上手だし、エネルギッシュで、素敵だなーと思いました。ハーフで、かつ直前までニーヨークに住んでいただけあって英語の歌詞が自然。日本版とBW版のハーフみたいなイメージ。

コリンズ(TAKE) 若干他の人より年上らしく、”おじさんぽい”と言っている人もいましたが、私は意外と違和感がなかった。普通の人っぽいというか、やや頼りない感じにみえるキャラだけど、オフ版のコリンズもそんな感じの人だったんですよね。オリジナルのジェシー・L・マーティンや、最後のツアーで来日したマイケル・マッケルロイみたいな大柄で頼りがいのありそうなタイプとはちがう。そういうキャラ設定になってるんだと思う。通常黒人が演じるキャラですが、黒人特有の声の厚みや声量は当然ない。だけど、エンジェルを思って声を絞り出して歌う彼のI'll Cover You(reprise)には泣いた。

ベニー(Spi) 結構いい人っぽい感じでしたね。コリンズと「飲みにいこうぜ」っていうところとか。もともと仲間だし、今もつながってるっていう感じがした。

ジョアン(西国原礼子) 知的さと、強さと、女性らしさのバランスがいい。愛すべきジョアン。

エンジェル(田中ロウマ) 東宝版の初演と再演にも出ていて、今回で3度目のエンジェル。安心してみていられる。新演出ではダンスの場面が少なく、ストリート・ドラマーなのに、華麗なバチさばきを披露する場面も変更されているので、彼の得意のダンスがみれなくてちょっと残念。

ミミ(石田ニコル)かわいい感じのミミになるのかなーと想像していたら、思っていたよりずっとセクシー。稽古場動画では音程が若干心配だったけど、そんな感じじゃなく堂々と歌えてた。よーく聞くと高音が若干不安定だった気もするけど、まあそこはいいかな。むしろ気になったのはダンス。ダンサーという設定なのに、見せ場のOut Tonightで全然踊ってない。ただ左右に歩いたり、はしごの上下に行ったり、思い切り柵から身を乗り出してポーズするところもあったけど、そのぐらいで、全体的に動きが小さかった。難しいダンスにトライしているけどまだちょっと足が上がり切ってないとかそういう感じじゃなくて、彼女ができる動きの中で振付けされてるのかなという感じがした。でも22歳という年齢は19歳という設定のミミに近く、そのあたりはリアリティがあるかなとは思った。

モーリーン(ソニン) 東宝版ではミミを演じてきたソニンさんが今回はモーリーン。躊躇なくはじけた演技で圧倒されました。両耳の周辺を刈り上げたショートヘアも大胆。ちょっといかれちゃってる女の子風。Over the Moonのパフォーマンスは本当に面白かったし、かっこよかった。新演出では奇想天外な話の内容を後ろのスクリーンの映像で補足。牛が出てきたりブルドッグも。
オフ版のモーリーンもはじけてたけど、スカートをはいていてもっと女の子っぽい感じだった。でもエロっぽくて、スカートなのに足を大きく広げたり、柵を足で挟んでエロティックな動きをしたりしてて、牛のエルシーちゃんのミルクが画面の上からだら〜っと幾筋がたれてくるところではこれって何か違う意味?エッチっぽい意味なの?と思ってしまったほどだったけど、ソニンさんはセクシーだけど、そこまでエロっぽくはなかったかな。でもそれでいいと思う。

アンサンブルはちょっとまだ誰がどの役だったか細かくみれてないところもありますが、思いつく範囲で書いてみます。
ちなみにオフ版を観た時の感想の中に、オリジナルは4人いた男性アンサンブルがひとり減って男女とも3人になり、その役割分担がどうなっているか記述していますが、今回もそのパターンだと思います。
NY2011:「RENT」プレビュー初日(7/14夜)その2・初日の感想(ネタバレあり)

・女性アンサンブル
マークのママ、ライフサポートのパム(小林由佳) 髪がストレートで長いというのが見分けるポイント(笑)。マークのママ、面白かったです。

SOLソリスト、ホームレス、ミミのママなど(高城奈月子) Seasons of Loveのソロがすごくいい。ホームレスは本当にそれっぽくて、怒ると本当に怖かった(笑)。

アレクシー、ロジャーのママなど(千葉直生) アレクシーのうざい感じがよく出てましたね。小柄な方で、La Vie Bohemeの時はツインテールにしています。ってことはスーもやってるってことですね。

・男性アンサンブル
SOLソリスト、ジョアンのパパ、牧師など(セキグチタケオ) とてもいい声で、ソロも素敵でした。長身で役柄にあっていると思う。エンジェルが入院した時の医者の役もこの人?

ゴードン、スティーブ、窓ふき、ウェイターなど(海宝直人) とても透明感のあるきれいな声でゴードンとスティーブのソロは聴きごたえがありました。ゴードンとスティーブを同じ人がやるっていう演出はどうかなとは思いますが。ライフサポートの時に名前を名乗るところはスティーブは別な人がやってるんだと思うし(今回はちゃんと確認できてないけど)。それはともかく、スリムでカワイイ感じの人。

クリスマス・キャロラー、ヤクの売人、ミスター・グレイなど(伊藤友樹) 要所要所で「Christmas bells are ringing」と歌うのがクリスマス・キャロラーですが、ちょっと音程が怪しかったような?ロジャーを先に帰して、ドラッグを買いに来たミミに迫るヤクの売人はエロっぽくてよかったですね。ああここはそういう意味だったんだなーとあらためて思った。その他、What You Ownでマークとロジャーが乗ったセットを回してます。もうひとりはセキグチさんの方かな、体格的に。(もうひとりは細いから。)

内容としては、新演出の特徴はわかりやすさと、スクリーンに映像を映すなど現代風になったところかな。わかりやすさという点では、ロジャーとマークが住んでいるロフトのセットが舞台上に設置され、不要な時は奥に引っ込めるというやりかたで、ある意味前の東宝版と似ているところもある(前の東宝版は屋根もついた家になっていて、使わない時は脇に移動するがかなり場所をとっていた)。それからドアがついたこと。ミミがドアをノックする音はオリジナル版では「コンコン」という固い感じの音だったが、今回のドアは金属の網状になっているのか、たたくと「シャンシャン」という音。ノックしてるっぽくないかも。ミミがロジャーの部屋に入る時のドアは客席に対して直角(上手から下手側に入る)で、ロフトのドアは平行(客席側から奥に向かって入る)と、別な向きになっている。

スクリーンでいえば、Christmas Bellsのところで、ここは本来はラ・ボエームの設定を借りている部分で、お祭りの前の野外市場のにぎわいみたいなものを、ホームレスのフリーマーケットとして転用しているのだと思うのだが、今回は背景の映像を見ていたら、シャッターが下りた商店街の前で商売してる風にみえてきた。それも現代風?

そういえば、最後にマークがカメラでうつした映像が流れるはずが、途中で止まってしまうハプニングがありました。

印象に残ったシーンはエンジェルのお葬式からI'll Cover You(reprise)です。コリンズのTAKEさんの「終わった」もせつなかったけど、弔辞を述べるミミの石田さんが既に泣きそうになっていてついもらい泣き。そのあとのマークは落ち着いて話し始めたけど、後半うるうるしていて、モーリーンのソニンさんは泣かずに「出会えてラッキーだったのは私たちの方よ」としっかり言ってくれてまた泣けた。そのバランスがいい感じだった。で、コリンズのI'll Cover You(reprise)でまた涙。とてもよかった。でも、エンジェルから買ってもらったコートを持ってないのが気になりました。こういう演出になったんだっけ。このコートはエンジェルの象徴なのになー。

別な意味で、オフ版から気になっているのがWhat You Own。金属のパイプ製の箱に床と天井をついたものに上にロジャー、下にマークが乗って歌うのですが、上は客席からみて手前と奥にはしごが突き出ているだけで柵は一切なし。しかも途中で回転させたりするので見ていて本当にヒヤヒヤする。オフ版で見た時はもう少し手すりがあった気もするけど。しかもこの日は、ロジャーが客席側のはしごに思い切り寄りかかったらちょっとグラッとしたんですよね。あぶな〜い!!セットが回転して(アンサンブル2人で回す)そのはしごが裏側に行った時、伊藤さんがさりげなくはしごのずれを直してた!!それはとても重要。だってそっちのはしごにロジャーがぶら下がって上半身を外に乗り出した状態で回転させるんだから。最後にロジャーが降りてきて、マークが上に上がる。これはオフ版(プレビュー)ではなかったこと。変わったんですかねえ。どっちにしても、ロジャーとマークが仲直りしてがっちり抱き合うというオリジナルとはちがう解釈なんですね、ここは。

もうひとつ大きく変わったのはエンジェルの扱い。はじめは少年風の服装だったエンジェルが急に女の子のような格好で出てくるのは違和感があるということで、今回マイケル・グライフはエンジェルの衣装を男の子っぽく変えた。それでもキラキラゴージャス系ではあるけど。エンジェルの衣装の一部がマントにもなっているが、I'll Cover Youではそのマントを着せられたコリンズとロフトの上にあがったエンジェルがロミオとジュリエットみたいなシーンを演じるというのが新しい演出。「ゲイ(ドラッグクイーン)だから女装」という風にしたくなかったってことですね。そうしなくてもニューヨーカーには理解できるということだと思う。でも日本ではどうかな。女装して出てきた方が、「そういうことかー。」とピンと来やすい気もするけど。でも、明らかにエンジェルとコリンズが愛し合っているのがわかるので、服装はどうでもいいのかな。普段着の地味さと、Today 4 UやHappy New Yearなどの衣装のギャップを考えると、女装にこだわらなくてもいいのかも。Happy New Yearの衣装はワンピースぽいし(つまり女装)。

ちなみに赤いブログの観劇レポートを見ていたら、オフ版の開幕後にマイケル・グライフがエンジェルの衣装などについてインタビューに答えている記事をみつけました。読み返してないけど(笑)。
Downsizing ‘Rent’ for a New Run

一番最後のシーンで、オフで気になったのがエンジェルが出てくるタイミング。最後のNo day but todayと歌う前に歌が一瞬途切れて伴奏だけなる部分で出てくるのがオリジナル演出ですが、オフ版ではそれよりも前に出てきてしまっていて拍手しそびれた感じだったので。でも今回はそこはもとの演出に戻っていました。やっぱりここで出てくるのがいいと納得しました。

なんだか、コリンズとエンジェルのことばかり書いてしまったような。ちなみに日本版リステージのアンディ・セニョールはエンジェル、振付け補のマーカス・ポール・ジェームズはコリンズを長くつとめた人。だからっていうわけじゃないんですけどねえ。

出待ちでは、セキグチタケオさん、スウィングの田代絵麻さん、ジョアンの西国原礼子さんに会えました。田代さんは警官役で出ていたそうです。

スウィングとは複数の役の代役として準備している人のこと。東宝版はロジャー、ミミ、モーリーン、エンジェル、コリンズがダブルキャストなので、いざとなったらもうひとりが代わりを務めることもできそうですが、実際に東宝の再演版でそういうことが起きて、体調不調で休んでしまったロジャーのお休みが長引き、ダブルキャストだけではカバーしきれず、急遽新しいロジャーをもうひとり出したということがありました。(その時はスウィングがいなかった。)そういうことがないよう、みなさん元気でそれぞれの役を全うして欲しいと思います。

出待ちの話の戻りますが、ダブルキャストの人は私が次に行く時は出ていないので会えたらいいなと思いましたが、マチネだし、しかたないかな。開幕から日にちが経っているせいか、出待ちの人も10人程度であまり多くなかったです。

一気に書いてちゃんと見直しもできてないので変なところや書き忘れたこともあるかも知れませんが、思い出したら次回に観に行った時にでもまた書きます。

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