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「屋根の上のヴァイオリン弾き」を観て、福島とAvenue Qを思う!? [ミュージカル]

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3/18(月)13時から、日生劇場で「屋根の上のヴァイオリン弾き」を観ました。母が観たいというので、私好みではなさそうだなと(失礼!)思いつつチケットをとったもの。タイトルからヴァイオリン弾きの話かと思ってたらちがった、というくらいよくわかってない状態で出掛けました。

ロシアの田舎の村に住むユダヤ人たちの 、伝統を重んじた素朴な暮らしが描かれた作品。冒頭「しきたり」がいかに大事かというただそれだけのことを、大勢でこれでもかと歌う歌う踊る踊る(笑)。そんなパフォーマンスに圧倒されつつも、なじみのない曲調の音楽とまったく知らない世界の話に、うわーとんでもなく場違いなところにきちゃったかも~とクラクラ。

でも後半、不遇な歴史を生きて今なお安住の地を得られないユダヤ人の人たちの、それでも運命を受け入れて明るく生きようとする姿が、震災の被災者の方々、特に地元に戻ることが許されていない福島の沿岸地域の方々と重なり、せつなくなりました。

以降、ネタバレあり。


キャスト
テヴィエ       市村正親
ツァイテル(長女)  水夏希
ホーデル(次女)   大塚千弘
チャヴァ(三女)   吉川友
モーテル・カムゾイル 照井裕隆
パーチック      入野自由
フョートカ      上口耕平
ラザール・ウォルフ  鶴田忍
アブラム       石鍋多加史
ラビ(司祭)     青山達三
巡査部長       廣田高志
イエンテ       荒井洸子
シュロイム      真島茂樹
ゴールデ       鳳蘭
            ほか

あらすじ
屋根の上のヴァイオリン弾きのように、いつ落ちて首の骨が折れるかわからない生活。そこで上手くバランスを取るために必要なのは、「それはーーーーーーー、しきたり!」(笑)。5人の娘がいる牛乳屋のテヴィエとゴールデは娘がお金持ちと結婚して幸せになることを望んでいる。お見合いをまとめるのが好きなイエンテが金持ちの肉屋ラザールが長女ツァイテルを見初めたと知らせにきて結婚話がまとまるが、ツァイテルはまずしい仕立て屋のモーテルが好きで、彼と結婚したいと言い出す。結婚を決めるのは父親というのがしきたり。でも娘の気持ちは・・・。しきたりと新しい考え方の間で戸惑うテヴィエ・・・。そんな娘達の結婚話の一方、ふだんはふつうにつきあっているロシア人が上からの命令でやむを得ず村を荒らしにきたり。呆然とする家族にテヴィエは「なにやってんだ。早く片付けろ。」というだけ。大学を出て学のある青年パーチックはひどい目にあっても、次の日には何事もなかったように明るく暮らす人々の生き方に疑問を投げかけるが・・・。

市村正親さんが演じるテヴィエはよれよれした気のいいおじさん。家長としてしっかりしているようでいて、抜けてるところもあって、妻ゴールデには頭が上がらない。妻に怒られそうでおろおろしているところなど、なよなよして、ちょっと可愛い。そしてかなり面白い。家族への愛に満ちていて、微笑ましくもあります。鳳蘭さんのゴールでは、テキパキした口調で夫や娘をしきっていて、怒ると本当に怖い(笑)。娘達はみんな可愛くて歌もうまい。そして彼女たちのボーイフレンドは若干頼りなげだけど優しい男たち。全く見知らぬ世界の話ではあるけれど、すっかり話に引き込まれました。

座席が3列目のセンターだったというのも大きいかも。私はあまり気が進まなくて、母からの依頼を放置していて、気がついたらとっくに一般発売も始まり、大半の席が売れているような時期になっていて、あわててチケットを探したのですが、なぜかXC列のセンターが2人分とれてしまったのです。キャストの表情がばっちりみえていい席でした。

結末を言ってしまいますけど、最後にユダヤ人の人たちは、ロシアの上の方のからの命令で、突然「3日以内に家を売ってここを離れろ」と言われてしまう。この村で生まれ育ったのに、何も悪いことはしていないのに、貧しくてもふつうに働いて生きてきたのに、理不尽な理由でそれぞれが身内などを頼って他の町や外国に移住することになり、家族やコミュニティーはバラバラになっていくのです。そんな時でも明るく挨拶を交わし、再会を誓い合う人たち。その姿が本当にせつなかったです。

観終わってから、ふと、思い出したものがありました。ブロードウェイ・ミュージカル「Avenue Q」のキャストが出演していたパロディ動画、「Avenue Jew」(キューじゃなくジュー、笑)。そういえばあの動画でも、もともとは明るい「Avenue Q」の曲が短調に転調されて寂しげな感じになっていたよなーと。そしてあらためて観てビックリ!冒頭、トリッキー・モンスターが狂ったようにヴァイオリンを弾いてる!!「屋根の上のヴァイオリン弾き」だったのか〜。


「Avenue Q」は、ニューヨークのアベニューA、B、C・・・といってQ(は実際にはないらしいが)という思いっきり町外れのアパートに、貧しく、それぞれ訳ありの人たちが住んでいて、人とパペット、パペットの中にも人とモンスターがいて、他に、黒人、ユダヤ人、アジア人(日本人)、ゲイなどがいて、誰でも少しは差別主義と歌いつつ互いに茶化しあったりするような話。「Avenue Jew」では、Qの方で大学は出たけれど仕事に就けなくて家賃の安いこのアパートに来たというプリンストンを、「屋根の上〜」の、やはり大学出のパーチックに重ねていたり、ユダヤ系のブライアンがパートナー(日系人のクリスマス・イブ)に「僕を愛している?」と聞いたり(これはテヴィエとゴールデのシーンのパロディ)、元の作品を知るとすごく面白いですね。英語力不足でよくわかないところもあるけど。

「屋根の上〜」のような有名なミュージカルは色んなところでパロディされているんだと思うので、そういう作品も観ておくことは大事だなーと思った次第です。

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