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Sound Theatre「HYPNAGOGIA」(8/29昼)を観てきました [芝居]

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Sound Theatre「HYPNAGOGIA」、日本語では、新感覚・音楽朗読劇「ヒプナゴギア」とありますが、音楽と朗読劇の融合というか、どちらも主役のような不思議な舞台。朗読劇なのでお芝居のような動きはないのですが、セットや照明のあて方もおしゃれでとても素敵でした。

写真は劇場(シアタークリエ)前に貼ってあったポスター。何枚か撮ったうち、人や車が写り込んでないものを。向かい側の宝塚劇場が写り込んでいます。ちゃんとしたポスターはこちらで紹介しています。

以降ネタバレあるかも。

HYPNAGOGIA (シアタークリエ)

作・脚本・演出  藤沢分翁
音楽監督     土屋雄作
香り監督     有藤文香

Character
 ピアニスト   北村有起哉
 夢の中の女   彩吹真央
 精神科医    米倉利紀

ピアノ      飯田俊明
チェロ      井上真那美

ストーリー
戦争が終わり、軍医をしていた精神科が自分の町へ戻ってきた。患者からもらったチケットがあるからと出掛けたコンサートで、観客の絶賛を浴びていたピアニストは彼の親友だった男。思わぬ再会を喜ぶが、ピアニストがなぜ突然有名になったのかをたずねると不思議な話をしだした。夢の中で出会った女が曲を書いているのだと言うのだ。現実の世界と夢の世界の二重生活をしているために結果的に寝ていないピアニストの身体は衰弱している。精神科医は親友を救い出すために行動を起こすのだが・・・。

HYPNAGOGIAとは聞き慣れない言葉ですが、ギリシャ神話の女神ニュクスに双子の息子がいてひとりは死を司る神タナトス、そしてもうひとりが眠りを司る神ヒプノスで、ヒプなゴギアはそのヒプノスを語源とした心理学用語で「眠りと覚醒の狭間の状態」のことなんだとか。

おしゃれというかセンスがいいというか、何とも形容しがたいセットをどう説明しようかと思ったら公式Facebookに写真がありました。(こちらです。)奥に吊るされた大きな布と、その手前の上手側には木の枝のようなものがつり下げられている。これに赤い照明をあてると内臓や血管のようにもみえる。そして木の枝のようなところの一部に三方からスポットライトがあたると、そこに椅子が浮き上がる。

真ん中にピアニスト(本物の)とチェリストが向き合うように座って演奏を奏でる中、物語が始まる。上手側に精神科役の米倉さんが登場。途中からピアニスト役の北村さんが下手側に登場する。それぞれ、台本のようなものを手に持ち、朗読する形で話が進んでいく。セリフの中ではお芝居になっているのだけれども、実際にふたりが近づいたり接触することはない。米倉さんの精神科医は堂々と自信に満ちあふれ、やや横柄なくらい。本気で怒ると結構怖い感じ。北村さんのピアニストは、精神科医と再会した頃はおどおどした感じで、精神科医の迫力に押されている風なのですが、夢の中の女と会話する時は素朴な少年のような穏やかさを感じました。途中から出てくる。彩吹さんの夢の中の女は振り回し系というか、ハキハキものをいうのだけど、話の噛み合なさが人間離れしているというか、幼い少女みたいな感じというか、とにかく不思議な女性なのだ。ピアニストは夢の中では、想像したものを目の前に出せる力があり、女にプレゼントしようとして、なぜかクラゲを出してしまったりして、それを消すには考えから消さないといけないなど、なんかややこしい世界なんだけど、そのややこしさも見慣れてくるとなんだか微笑ましくもみえてくる。

夢の中の女が作曲した曲で成功というと、それを利用して儲けようとしているのかと思うと、(当初はあったかも知れないけれど)むしろ夢の世界から出られない女の作品を代わりに表現したいという感じも見受けられ、幼少時代の思い出とのつながりなどもあり、ではいったいこの女は誰なのか、彼女が存在する意味は何なのか、彼女を失うとどうなるのかなどと、色々考えてしまう作品。精神科医は、女はピアニストが作り出した幻想だと考え、ピアニストと同一視しているのですが、そうすっきり割り切れない何かがあるのです。

もともと飯田俊明さんがピアノを弾くということで興味を持ったこの作品。やはり彼のピアノはとても魅力的でした。激しく硬質な音で奏でるパートもあれば,柔らかく暖かい音色もあり、弓弦楽器のチェロの複雑で優美な音色とともに、背景に流れるだけでなく時には主役にもなる音楽も印象的でした。

会場にはいると、この作品では大量のスモークと香りを使用しますが人体にはまったく影響はありませんのでご安心ください、というようなアナウンスが流れます。確かにスモークはかなり使われていました。でも香りの方は、私の席がやや後ろの方(15列19番)だったのでほとんど感じませんでした。会場をあとにする時にそういえばハーブのような香りがするかなと。「シダー系の香りがするね」と言っていた人もいましたが、私はシダー系といわれてもよくわからなくて。何のにおいだろうな〜と考えていて、私が感じたのはローズマリーに近い感じの香りでした。でも、香り監督がいらっしゃるくらいだから、もっと複雑な香りなんでしょうね。私は香りものがちょっと苦手なので、近くだったらどうだったのかなとはちょっと思いました。スモークも大量だと足下が冷える場合もありますからね。でも今回がどうだったのかは、舞台の近くにいなかったのでわかりません。

「HYPNAGOGIA」はロンドンで生まれ、日本では、山寺宏一さん、柳家花緑さん、林原めぐみさん(音楽とピアノ演奏が稲本響さん、ブレス(呼吸で打楽器のように音を出す?)がMaLさん)などで上演されたこともあったようです。今回は楽器の組み合わせもちがうし、音楽も新しく作られたようで、米倉さんがミュージシャンということもあってか、歌も1曲書かれていて、2幕の冒頭で米倉さんが歌う場面があります。精神科医も昔は歌手を目指したことがあったという設定で。

また、姉妹作の「THANATOS」、未公開の「NYX [mother]」という三部作になっているのだとか。つまりヒプノスのふたごの兄弟タナトスと、ふたりの母ニュクスの話な訳ですね。こちらもチャンスがあったら観てみたいです。

センスがいいなと思うのはパンプレットも同じ。結婚式の招待状かと思うような、洗練された白いパンフレット。(もちろん売り物なのですが。)

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A5サイズと小さめで、白い表紙にはシルバーで雪の結晶の模様が描かれています。

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中身はこんな感じ。

最後のページがまた面白い。
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右側のページがさらに開けるようになっていて、真ん中の上部と右側の下部にポケットがあります。

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上のポケットには今回使用された楽曲が3曲入ったCDが入っています。そして右側のポケットには赤い三つ折りのカードが入っていて、そこには一幕と二幕にわけてそれぞれ使用された曲名が記載されています。ポケットにささっている拳銃もこの作品の重要な小道具(実際にものとしては出て来ないけれど)になっているんです。どこまでもしゃれていますよね。値段はいくらだったかな。2,500円くらい?でも、CDもついているし、手元に残したいおしゃれさです。


◆公演公式サイト
 http://hypnagogia.soundtheatre.jp/ ←音が出ます。
飯田俊明さんのピアノ演奏の一部が流れます。

◆前回の公演の公式サイト
 http://www.hypnagogia.jp/ ←音が出ます。
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