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「A Funny Thing Happened on the Way to the Forum」(11/22)の感想 [ミュージカル]

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ワシントンDCの3日目、11/22(金)20時からスティーブン・ソンドハイム(Stephen Sondheim)作詞・作曲のコメディ・ミュージカル「A Funny Thing Happened on the Way to the Forum」を観てきました。本作は1962年にブロードウェイで初演されてトニー賞のミュージカル作品賞と脚本賞を受賞しているとのことで、1966年には映画化もされているようです。映画の邦題は「ローマで起った奇妙な出来事」です。映画には美少年のヒーロー役でマイケル・クロフォードが出ていたらしい!!

Shakespeare Theatre Company
「A Funny Thing Happened on the Way to the Forum」
脚本:Burt Shevelove & Larry Gelbart
作詞・作曲:Stephen Sondheim
演出:Alan Paul

Senex, an old man ... Steve Vinovich
Domina, his wife ... Julie Johnson
Here, his son, in love with Philia ... Nick Verina
Hysterium, slave to Senex and Domina ... Tom Story
Pseudolus, Slave to Hero ... Bruce Dow
Erronius, an old man ... Harry Winter
Miles Gloriosus, a warrior ... Edward Watts
Marcus Lycus, a buyer and seller of courtesans ... Danny Rutigliano
Tintinabula, a courteson ... Ashley Marinelli
Panacea, a courtesan ... Chelsey Arce
The Geminae, courtesans ... Ashley Blair Fitzgerald, Sarah Meahl
Vibrata, a courtesan ... Lisa Karlin
Gymnasia, acourtesan ... Jennifer Frankel
Philia, a virgin ... Lora Lee Gayer
The Proteans ... Matthew Bauman, Nick Flatto, Blakely Slaybaugh

会場:Sidney Harman Hall

本作は、古代ローマを舞台にしたコメディ。3軒の家があって、その真ん中の家の奴隷プセウドラスが主人公。その家の息子(無垢な美少年)ヒーローに仕えている彼はヒーローが一目惚れした隣の高級娼婦の館にいる生娘フィリアとの仲をとりもつことができたら自由の身にしてもらう約束をするのですが、彼女はすでに売約済みで・・・。3軒の家の人たちとフィリアを身請けしにきた軍人の隊長らが複雑に絡み合い、思わぬことからハッピーエンドをむかえるという典型的コメディ。詳しいあらすじは感想を述べながら説明しようと思います。

以降ネタバレあり。

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Sidny Harman Hallは結構広くて、ステージから張り出している部分にオーケストラボックスがあり、オーケストラボックスの縁(客席側に)は丸くカーブしていてキャストが歩くことができます。宝塚でいう銀橋というような感じです。ナショナル・シアターがブロードウェイっぽくて狭い感じなのに比べてロビーも広くて道路側がガラス張りになっていて見晴らしもよく、お客さんも上品な年配者がメインという感じでした。シェイクスピア・シアター・カンパニーの作品を観にくるお客さんですから、それなりの方々なんでしょう、きっと。私は一番安い席と言って前日に購入したのですが、メザニンのセンターブロックの横の上手側のブロックの最前列。その横には真横を向くような席があります。その真横席には関係者らしき人が一人座っているだけ。メザニンはセンターブロックの前の方は埋まっているけれどうしろはガラ空き。私がいたブロックも、私は一番真横席寄りでその隣に男性が2人で、そこからセンターブロックまで空席。なので、休憩の間に隣のおじさんたちが1〜2席横に移動したので、私はおじさんたちが席を外したあと、一番センターブロック寄りの席に移動。最前列のセンターよりという好位置で観ることができました。

この作品、本当に最初から面白いのです。はじめにプセウドラスが幕の前に出てきて歌い始めるのですが、ちらっと幕をめくると中は薄暗くて壷を囲んだ暗い感じの人たちがいて、「悲劇は明日。今日はコメディだよ。」と。軽快な「Comedy Tonight」という曲は一度聞いたら一緒に口ずさんでしまうくらい耳に残りやすい曲で(私は事前にyoutube動画で観て以来、耳から離れない状態)ストーリーが始まる前から大笑い。

真ん中の家は、主人がセネクス(結構年いってる感じ)と怖ーい奥さんのドミナ、彼らに仕える奴隷頭ヒステリアムは痩せていて名前の通り神経質っぽくてちょっとしたことですぐひえ〜って叫んじゃうようなキャラ(出てきただけで面白い)。そして息子がヒーローでその奴隷プセウドラスが主人公(プレイビルの表紙になっている太っちょのおじさん)。左隣(下手側)の家は高級娼婦の売買をしている店で主はライカスというおじさん。右隣の家はエロニアスというおじいさんが住んでいるのですが、このおじいさん、娘と息子が幼い時に連れ去られてしまって、ずっとその子たちを探しているという人。その話をオープニングで説明する時に、3人の奴隷(この3人は場面によって色んな役をする)が赤ちゃんの人形を2階から放り投げて、それをキャッチボールしたり、舞台中央にいるプセウドラスに投げたり、オーケストラボックスに投げ込んで、それが投げ返されたり、徹底して笑いを取る感じでした。

物語ですが、ヒーローと隣の家にいたフィリアが互いにベランダから見て、ヒーローは彼女に一目惚れ。両親が留守の間、プセウドラスに彼女を連れ出してくれたら自由にすると約束します。プセウドラスはお金を預かって、ライカスに女性を買いたいと持ちかけるのですが、ひとりひとり色んな衣装で踊ったりしてパフォーマンスをしつつお披露目していきます。双子の娼婦あり、SMの女王様的な人まで。プセウドラスはぽーっとなってしまうのですが、ヒーローがこの人じゃないというので、適当な理由を付けて断り次の女性、次の女性と。これで最後という女性が出てきても、結局お目当ての女性が出て来ない。と思ったらまたベランダから顔を出すフィリア。「あの子がいい」というと、彼女は軍人のマイルズに売ることが決まっているという。そこでプセウドラスはフィリアが出身の島が疫病で全滅したと嘘をつく。「でも彼女は笑っているよ(だから病気じゃない)」とライカスがいうと「笑っているということは死が近いんだ。その島ではみんな笑って死んでいる。」といって病気がうつっては大変とフィリアを連れ出すことに成功。

フィリアとヒーローは抱き合ってキスしあってラブラブなのですが、フィリアはちょっと頭の弱い子で、ヒーローの名前も覚えられないくらい。それでも隊長の妻になると思い込んでいる。フィリアをいったん真ん中の家に隠して「3回ノックした時だけ出てきて」と言い残して、プセウドラスとヒーローはその場を離れるのですがですが、そこへヒーローの父親のセネクスがたまたま帰ってきてドアを3回ノック(笑)。フィリアは「私はあなたのものです」といってセネクスに抱きつき、セネクスも悪い気はしない。

プセウドラスはフィリアはあたらしい女中だと伝えて、セネクスに臭いがするからシャワーを浴びた方がいいとなぜか隣のおじいさん、エロニアスの家に押し込める。そこへエロニアスが帰ってきてしまうのですが、電動の三輪車みたいなのに乗って、それもすごくゆっくりなスピードなのでそれ自体も笑えるのですが、プセウドラスが急場しのぎに占い師に化けて、「さらわれた息子と娘を見つけるためには周囲を7周回りなさい」と告げると、素直に三輪車で去って行き、物語の途中でも「2周目」とか「3周目」と言いながらステージを横切る姿がまた笑えるのです。

マイルズ隊長がむかえにきてしまうと慌てるライカスに、プセウドラスは自分がライカスとなのって交渉することに。時間稼ぎをしている間に今度は真ん中の家の怖い奥さんが帰ってきて、マイルズ隊長にねっとり挨拶。困惑するマイルズ。

プセウドラスはヒステリアムに指示してフィリアに何かの薬を飲ませようとするのですが、上手くいかないとパニック。時間になっても花嫁がこないと怒り出すマイルズはプセウドラスを締め上げる。危機一髪というところで「インターミッション〜!!」と悲鳴のように叫んで一幕終了(笑)

二幕は一幕のおさらいから。そしてなんとかヒーローとフィリアを逃がしたいのだけどうまくいかず、プセウドラスはフィリアが死んだことにすればいいと思いついて、ヒステリアムに女装させて顔を布で覆い、病気なので触らないようにいいながらマイルズに会わせる。花嫁の死に嘆き悲しむマイルズ。早く遺体を運び出したいプセウドラス。でも「最後に花嫁にキスを」と言い出し、驚いたヒステリアムが起き上がってしまって大騒ぎに。追いかけたり追いかけられたりしているうちに、本物のフィリアや、なぜか同じ白いドレスを来たセネクスの妻が混ざって、めちゃくちゃに。セネクスは、後ろ姿からフィリアだと思って妻に抱きついてしまったり(笑)。ヒーローと逃げようとしていたフィリアは結局つかまって連れ戻されてきた。

万事休すと思ったところへ、エロニアス老人が登場。たぶん7周目だったんでしょう。マイルズのしている指輪を見て、「これは息子の指輪だ」と言い出す。「父上」「息子よ」と抱き合う二人。そして、フィリアの指輪をみて「娘の指輪だ」と。そこで「娘よ」「妹よ」と抱き合ったあと、マイルズとフィリアは兄妹と気づく。つまり結婚はできない。そこでヒーローが「僕は彼女と結婚したい」と言って、両親も許し、ふたりは抱き合ってキス。そしてプセウドラスも自由の身となってめでたしめでたし。

上手く説明しきれませんが、とにかく面白かったです。あらかじめあらすじは調べておいたのですが、あとは英語があまりわからなくても、キャストの動きを見ているだけでもおもしろくてたくさん笑いました。1962年の作品ということですが、ローマ時代という設定にはちょっとびっくりですが、でも笑いの部分は今でも十分楽しめる内容だと思いました。



本作はソンドハイムが作詞作曲を手掛けた最初の作品らしいです。この作品をみようと思ったのもソンドハイムだったからです。ブロードウェイとちがって劇場がそんなに多くないワシントンDCで行った時期に観れそうなものを探していて、もうひとつ、「クリスマス・キャロル」がどこかでやっていたんですが、そのあとにこっちをみつけたので、それならやっぱりソンドハイムだと思ったわけです。

ソンドハイム作品は「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ」、「カンパニー」、「メリリー・ウィー・ロール・アロング」などの人としての生き方や選択について考えさせられるようなものや、「イン・トゥ・ザ・ウッズ」や「スウィーニー・トッド」のような意地悪な昔話的なもの、いまいちよくわからなかった「太平洋序曲」などを観ているのですが、今回の「ローマで起った奇妙な出来事(A Funny Thing Happened on the Way to the Forum)」のようなコメディも含め、ソンドハイムの幅の広さには驚かされます。でもやっぱりソンドハイムが好き。今回も観れてよかったです。

◆公式サイト
 http://www.shakespearetheatre.org/plays/details.aspx?id=381&source=l


★ワシントンDC旅行記インデックスはこちらです。


◆参考
・映画版「ローマで起った奇妙な出来事」VHS
ローマで起った奇妙な出来事 [VHS]

ローマで起った奇妙な出来事 [VHS]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: VHS


・オリジナル・ブロードウェイ・キャストCD
A Funny Thing Happened On The Way To The Forum (1962 Original Broadway Cast)

A Funny Thing Happened On The Way To The Forum (1962 Original Broadway Cast)

  • アーティスト: Stephen Sondheim,Original Broadway Cast,Zero Mostel
  • 出版社/メーカー: Angel Records
  • 発売日: 1993/05/11
  • メディア: CD


・リバイバル版CD
A Funny Thing Happened on the Way to the Forum (1996 Broadway Revival Cast)

A Funny Thing Happened on the Way to the Forum (1996 Broadway Revival Cast)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Angel Records
  • 発売日: 1996/06/25
  • メディア: CD


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