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最近読んだ本「王城の護衛者」 #八重の桜 [大河ドラマ「八重の桜」]

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大河ドラマの影響で最近読んだ本のひとつがこれです。司馬遼太郎の新装版「王城の護衛者」。表題作が松平容保の生涯をとりあげたもので、他に4作。いずれも幕末の歴史を動かした知られざる人物を題材にしています。

「王城の護衛者」は松平容保に好意的に描かれているというような口コミをみて購入したのですが、内容が好意的というより、そもそも容保を取り上げたこと自体が好意的ということかなと思います。会津藩のことは「政治力がない」、容保は自分に策謀の才能がないことを知っていて苦手なことはしてはいけないと思っていたと書かれ、その辺は厳しいな〜と思うのですが、会薩同盟を薩摩から提案された時の容保の対応についてはちょっとちがったニュアンスになっています。

容保という男は、天性、権謀術数の感覚に欠けていたのであろう。薩摩はたんに便宜上会津藩をひきずりこむだけのことで締盟を申し出ていることを、容保は察することができなかった。いや、できぬ、というよりも、そういう感覚を働かせることを、この男は生来はずかしく思うところがあった。

ちなみに、権謀術数(けんぼうじゅっすう)とは、主に社会や組織などの集団において物事を利己的な方向へ導き、自身の地位や評価を高めるために取られる手段や技法、およびそれが用いられる様を表す総称。(出典:Wikipedia)この言葉の反対の生き方をされたということですね。

このほか、大河ドラマでは出て来なかったエピソードとして、京都守護職になった容保が帝の食事がひどいものだと聞き(幕府がおよそ90年も賄い料を据え置いたままだったため、食中毒になりそうな粗悪な食事だったという)すぐに改善したとのこと。帝のハートだけでなく、胃袋もがっちり掴んだのですね。それも、策略ではなく、人として帝にそんなお食事では申し訳ないと思ってされたことに違いありません。一方、孝明帝も病弱な容保が病気になるとみずから祈祷して回復を祈ったとか。そんなふたりに非情な運命が待ち受けているとは(涙)

歴史小説ということで、多少の脚色はされているのでしょうが、人物の描写がていねいで、歴史書とはちがう読み応えがありました。

他に、岩倉具視の文章を代筆していたという玉末操、昔大河ドラマ「花神」で取り上げられたこともある大村益次郎、長岡藩をいち早く洋式銃での軍備を整えて武装中立をめざしたという河合継之助、有名だけどいまいちよく知らない人斬り以蔵といった個性豊かな人物が描かれ、歴史上の大きなストーリーの影で見落としがちだけど実は大事な役目を果たしている人たちの姿に触れることができました。

◆新装版 王城の護衛者
新装版 王城の護衛者 (講談社文庫)

新装版 王城の護衛者 (講談社文庫)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/09/14
  • メディア: 文庫



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